第53回研究会の一般演題抄録

2024/10/18

研究集会・研究会

  第53回定例研究会(10月27日・東大本郷キャンパス、Zoom会議室併用)の一般演題の抄録は以下の通りです(発表順)。開催要領と参加申し込みはこちらのページをごらんください。

南方軍防疫給水部人数の追跡

林 少彬、王 選

1.南方軍防疫給水部の兵団文字符の略歴

 a.南京生まれの栄、南方軍の岡、そして復員時代の威

2.南方軍防疫給水部の組織関係

 a.南方軍の衛生部門

 b.下位組織:マレー支部、バンドン支部、ビルマ支部、マニラ支部、など

3.南方軍防疫給水部の人数

 a.編制期間:支那派遣軍と南方軍の予定人員

 b.戦中期間:南方軍と留守業務部

 c.終戦処理(英軍POW収容所)期間:自作留守名簿、労役作業班グループ

4.残された課題

 a.BMAの記録

731部隊関連遺跡と正対し、ハルビン事情を視察

高本英司(戦医研世話人/「戦争と医の倫理」の検証を進める会呼びかけ人/大阪府保険医協会副理事長)

 8月12日から15日にかけ、2016年5月以来8年振りに中国黒竜江省の省都であり、731部隊が暗躍したハルビンを訪問した。

 大阪府保険医協会主催で行い、初めて訪問する会員・家族・職員を広く募った。今回は添乗員含め21名の参加で、元731部隊少年隊員であった清水英男氏一行3名と、通訳、大学院生含め17名が初めてのハルビン訪問であった。

 今回の「ハルビン・731部隊など戦争遺跡を巡る旅」の目的は、戦争遺跡や医師が行った人体実験の膨大な資料を侵華日軍第731部隊罪証陳列館で見学し、自分の目でまず事実を確認し、731部隊が行った医学犯罪について考える切掛を提供することにあった。当然中国の人々や「マルタ」とされた中国、ロシア、朝鮮などの人々と侵略国日本との関係を深く考える機会を提供することにつながると考えた。それだけでなくハルビンの美しい町並みや人々の表情、暮らし、文化にも触れる企画が盛り込まれた。

 現在旅の感想文を冊子にまとめているところで、どんな感想が綴られるか楽しみです。このような内容を研究会で報告する予定である。

元731部隊少年隊員清水英男さんの79年ぶりの部隊跡訪問-報告

原 文夫  

 元731部隊少年隊員で、2016年から731部隊での体験証言を続けている清水英男さん(94歳、長野県宮田村出身・在住)が、2024年8月に、79年の時を経て中国ハルビンの731部隊跡に立ち、胸の内に抱えていた731部隊による犠牲者への謝罪と慰霊、そして不戦の思いを伝えた。中国ではこの出来事をメディアが大々的に報道して関心を集め、中国政府(外務省)も会見で「歴史に真摯に向き合った清水さんの勇気を称賛する」等とコメントした。本報告では、今回、清水さんが731部隊跡を訪ねた経緯とその様子、反響等を当時の写真などを紹介して報告し、成果と教訓、及び改めて浮き彫りとなった課題を述べる。