戦後80年にあたって
2025年8月15日
戦争と医学医療研究会 世話人会
戦争は人命を奪うこと自体が目的のひとつとなり、医療人員・施設の破壊により人々が医療を受ける権利を奪います。日本では原子爆弾や東京をはじめ各地での無差別空爆、沖縄の地上戦などでも多くの命が失われました。戦争は、命を尊び守ることを目的とする医学医療とは対極にあることを、第2次世界大戦は如実に示しました。
日本はアジアの国々を侵略し甚大な命を奪った加害者であったことも忘れてはいけません。医学界でも731部隊のように医学者・医師が戦争の下で命を奪う側に転じていきました。戦後も、米軍との取引で免罪された元731部隊の研究者が1952年の日本学術会議で「細菌兵器使用禁止にかんするジュネーブ条約の批准を国会に申し入れる」声明に反対を唱えたように、731部隊の反人道的で非倫理的な思想が日本の医学会、学術界で総括されずに現在に至っています。
大戦後に平和を希求して出発し80年、世界は各地で戦争が進行し、さらなる戦火の拡大や核兵器使用が危ぶまれています。戦争放棄の憲法で戦争放棄を謳い出発した日本でも、安保3文書での日米軍事同盟の強化、機密保護法、先制攻撃の容認、突出した防衛費の増額がなされ、今年は戦争への学術界の協力の反省から出発した日本学術会議が政権の管理下に軍事研究に取り込まれる危険性が高い法人化法が成立しました。不都合な歴史の消去を狙う歴史修正主義が横行し、7月の参議院議員選挙で改憲勢力が2/3以上を占めるようになりました。
戦後80年を迎えた今こそ、歴史に学び歴史の教訓を未来に活かすことが重要になっています。
戦争と医学医療研究会は、これからも歴史の検証をすすめ、科学的な見地に立って、反戦・平和・反核の未来に寄与すべく活動することをここに表明し、平和を希求するすべての人に連帯を呼びかけるものです。