政府の管理下に学術の軍事動員を企図する日本学術会議「法人化」に反対する
昨年12月20日、「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」は、日本学術会議を「法人化」する「最終報告」を公表した。政府はそれを基に法整備を進めると言明した。
2025年1月19日 戦争と医学医療研究会 世話人会
「法人化」は日本学術会議の独立性を高めるためとされている。しかし実態は「政策のための科学」を「政府等とコミュニケーションをとりながら適時適切に提供」する「機能・役割を十分に発揮」することを財政支援の条件とし、中期的活動方針と年度計画作成を義務づけて活動をチェック、政府の意向を反映する新たな会員選考制度の制定など、日本学術会議を政府に従属させるための「法人化」となっている。さらに2022年の安保3文書に沿った軍学共同の推進や、軍事研究に反対する日本学術会議への自民党・一部マスコミの執拗な攻撃を併せ考えれば、学術を軍事研究に動員するためのものであり、私たちはこのような日本学術会議「法人化」に強く反対する。
日本学術会議は1949年に発足した。前身である学術研究会議が政府の統制下で戦争に協力した過ちへの反省を原点とし、これまで3回にわたって軍事研究を行わない声明を発出した(1950年、1967年、2017年)。また「学問の自由」を保障する憲法23条に基づき政府から独立した機関として設立された。
私たちは、日本学術会議が設立の原点と独立性を堅持し、毅然とした態度で政府に臨むことを要望する。政府に対しては、憲法で謳われている学問の自由、民主主義、戦争放棄を遵守し、学術会議の「法人化」を行わないことを要望する。