第27回日本医学会総会出展「戦争と医学」展

2007/04/08

医学者・医師の戦争加担についての公式の検証と反省を日本医学会に要請する

2007年大阪「戦争と医学」展の宣言


 第27回医学会総会は、1931年から45年までの15年間の中国侵略、いわゆる15年戦争の終結後60年の節目、また盧溝橋事件に始まる「日中戦争開戦」70周年にあたる2007年の3月31日から4月8日にかけて大阪で開催されました。

 今日、医学医療の歩みは著しく、医学者・医師にますます高い倫理が求められています。これに応えるために、医学医療のこれまでの歩みを真摯に振り返ることは重要です。第27回医学会総会のメインテーマが「生命と医療の原点―いのち・ひと・夢」とされ「原点からの情報発信」が掲げられているのも、「原点からの反省」が今日医学界に強く求められているからだと思います。 

 「原点からの反省」にとって、昭和の初期、「戦争期」及びそれに続く「戦後期」の医の倫理にかかわる反省は欠かせない重要な課題でしょう。特に「15年戦争」に日本の医学会・医師会が荷担したことや日本の医学者・医師により行われた人道に反する残虐な「人体実験」「生体解剖」等について戦後の医学会(界)が克服していないことを考える時、遅きには失したとはいえ、真摯な検証と反省は欠かせません。

 日本医師会が、1951年に世界医師会への加盟に際して出した声明は、この問題に日本医学界が公式に言及した唯一のものです。しかし、これとても日本の医学者・医師による戦争中の残虐行為を真摯に反省したものとはいえません。

 その後も、日本の医学会(界)がこの問題について検証・反省することはありませんでした。

 このような日本の医学会(界)の風土は、戦後繰り返されてきた数々の医療過誤や薬害において幾多の人々が犠牲になったことと決して無縁ではないと考えられます。

 「過去に目を閉ざすものは、現在さえも見えなくなります」という歴史の教訓を踏まえれば、第27回総会は戦前・戦後の日本医学会(界)の歩み、特に「戦争」との関連での歩みを振り返るよい機会でした。第27回医学会総会実行委員会に対しては、総会の公式企画として取り上げられるようにという動きもありました。

 しかし、第27回医学会総会実行委員会は残念ながら公式の企画をしませんでした。やむをえず、期を同じくして、大阪の地において、独自に開催されました「戦争と医学」展においては、「戦争と医学」について、真正面からとらえ直す展示と全国の医師・医学者らと共に考え討論する国際シンポジウムが持たれました。

 この「戦争と医学」展を契機に、全国の大学が徹底した医の倫理の教育を行なわれること、各医学会が学会のあり方に対する検証・反省を行なわれること、そして4年後の第28回医学会総会においては、総会自らが「戦争と医学」展を開催し国際シンポジウムなどを企画されることを要請します。

 私たちは、今後もこの問題を追究し、その教訓がこれからの医学医療にいかされるように努めます。


2007年4月8日(宣言予定日)

第27回医学会総会出展「戦争と医学」展実行委員会


 「戦争と医学」展と国際シンポジウム リーフレットのPDF


「パネル集 戦争と医学」のPDF

WAR AND MEDICINE Exhibition panel brochure PDF file

展示集 战争与医学 PDF file

패널집 전쟁과 의학 PDF file